採用候補者の経歴確認はどこまでできる?採用調査の範囲と注意点

採用候補者の経歴確認と採用調査の範囲・注意点

「履歴書に記載された職歴が事実か確認したい」「採用後に経歴の食い違いが判明するリスクを減らしたい」と考える企業は少なくありません。

結論からいえば、採用候補者の経歴確認は、募集する職務に必要な範囲を明確にし、原則として本人へ目的を説明して同意を得たうえで行うことが重要です。

一方、本籍、家族、出生地、生活環境、宗教、支持政党など、本人の適性・能力に関係しない情報を収集する身元調査は、就職差別につながるおそれがあります。

この記事では、採用調査で確認できる可能性がある事項、確認すべきでない事項、企業が依頼前に整理しておきたい手順を解説します。

採用調査は「何でも調べる調査」ではない

採用調査の目的は、候補者の私生活を広く調べることではありません。採用予定の職務に必要な事項について、本人の申告内容と確認できた事実を照合し、採用判断の材料を整理することです。

例えば、業務経験が重要な専門職であれば職歴や担当業務、資格が必須の職種であれば資格の保有状況など、職務との関連性を説明できる項目に絞ります。

調査項目を決める際は、次の点を確認します。

  • その情報が担当業務とどのように関係するか
  • 採用判断に本当に必要な情報か
  • 本人へ調査目的と確認項目を説明できるか
  • より負担の少ない確認方法がないか
  • 情報の保管期間と閲覧できる担当者を決めているか

「念のため」「何か問題がないか知りたい」という理由だけで、確認範囲を無制限に広げるべきではありません。

採用候補者について確認できる可能性がある事項

実際に確認できる範囲は、本人の同意、提供された資料、確認先の対応、職務との関連性によって異なります。

職歴と在籍期間

履歴書や職務経歴書に記載された勤務先、在籍期間、雇用形態などを確認します。

ただし、前職企業が第三者からの問い合わせに回答するとは限りません。個人情報保護や社内方針により、本人の同意があっても回答範囲を在籍の有無や在籍期間に限定する場合があります。

回答が得られないことと、経歴が虚偽であることは同じではありません。「確認できなかった事項」と「申告と異なっていた事項」を分けて扱う必要があります。

担当業務と役職

候補者が説明する担当業務、役職、実績について、提出資料や公開情報などと照合します。

営業成績や社内評価などは、外部から正確に確認できないことがあります。数値や肩書だけでなく、面接で担当範囲、チーム構成、成果に至る過程を具体的に確認することも重要です。

学歴と資格

職務に必要な学歴や資格について、卒業証明書、資格証明書、登録機関の公開情報などで確認します。

証明書の提出を求める場合も、募集職種との関係を明確にし、必要な範囲に限定します。資格番号や証明書には個人情報が含まれるため、取得後の管理にも注意が必要です。

会社役員・事業経歴などの公開情報

法人登記、会社の公式発表、行政機関の公表情報など、一般に公開されている情報から、候補者が申告する事業経歴などを確認できる場合があります。

同姓同名の別人を取り違えないよう、氏名だけで断定せず、年齢、経歴、関係する法人など複数の情報を照合します。

申告内容の整合性

履歴書、職務経歴書、面接時の説明、本人が提出した証明資料、公開情報の間に矛盾がないかを整理します。

表記の揺れや年月の記載ミスである場合もあるため、食い違いが見つかった時点で虚偽と決めつけず、本人へ説明と追加資料を求める手順が必要です。

採用選考で把握すべきでない事項

厚生労働省は、採用選考を応募者本人の適性・能力に基づいて行うことを基本としています。

次のような事項は、本人に責任のない事項や、本来自由であるべき思想・信条に関わる事項に該当し、採用選考時に把握すること自体が就職差別につながるおそれがあります。

  • 本籍・出生地
  • 家族の職業、収入、学歴、健康状態
  • 住宅状況や生活環境
  • 宗教や信仰
  • 支持政党
  • 人生観・生活信条
  • 労働組合への加入状況や社会運動歴
  • 購読新聞、愛読書

近隣への聞き込みなどによる広範な身元調査も、本人の適性・能力に関係しない情報や、偏見・風評を収集するおそれがあります。

SD Research
調査事務所では、差別や不当な排除につながる目的の調査はお受けしていません。

SNSの投稿を採用判断に利用する際の注意点

公開されているSNSであっても、採用担当者が候補者の投稿を無制限に収集してよいわけではありません。

同姓同名や似た写真による別人の可能性があり、匿名アカウントの本人性を断定することも困難です。また、宗教、政治的意見、家族関係、病歴など、採用選考で把握すべきでない情報が偶然表示される場合があります。

業務上の必要性がある公開情報を確認する場合でも、次の点に注意します。

  • 対象アカウントが本人のものか断定しない
  • 職務と関係しない投稿を収集しない
  • 私生活上の価値観を採用基準にしない
  • 非公開領域へ不正にアクセスしない
  • なりすましや虚偽の接触を行わない
  • 投稿の一部だけを切り取って判断しない

本人の同意を得て進める基本手順

1.確認項目を職務に合わせて決める

まず募集職種の業務内容とリスクを整理し、職歴、資格、役職など、何を確認する必要があるのかを項目ごとに決めます。

2.本人へ目的と範囲を説明する

誰が、何の目的で、どの項目を、どの確認先へ照会するのかを本人へ説明します。

同意書には、確認項目、利用目的、外部委託の有無、問い合わせ先などを分かりやすく記載します。

3.候補者本人から資料を提出してもらう

卒業証明書、資格証明書、在籍を確認できる書類など、まず本人から取得できる資料で確認します。

必要以上にマイナンバー、健康情報、家族情報などを取得しないよう、不要な部分をマスキングしてもらう方法も検討します。

4.確認結果を事実と評価に分ける

調査報告では、確認できた事実、確認できなかった事項、申告との相違を分けて記載します。

採用可否の判断は企業が行います。調査会社が候補者の採否を決定するものではありません。

5.本人に説明の機会を設ける

申告と異なる情報が確認された場合は、誤記、会社再編、出向、雇用形態の認識差などの可能性も考え、本人へ確認します。

採用調査を依頼する前のチェックリスト

  • 募集職種と調査項目の関連性を説明できる
  • 本人に調査目的と確認範囲を伝える
  • 同意書の内容を確認している
  • 本人から取得できる証明資料を先に確認する
  • 家族、本籍、宗教などを調査対象に含めていない
  • 調査結果を閲覧できる担当者を限定する
  • 保管期間と削除方法を決める
  • 相違が見つかった場合に本人へ確認する手順がある
  • 調査結果だけで機械的に採否を決めない
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SD Research
調査事務所の企業・採用調査

SD Research
調査事務所では、ご相談内容を確認し、採用予定の職務と関係する確認項目を整理したうえで、対応可能な調査方法をご案内します。

主な流れは次のとおりです。

  1. 募集職種と確認目的のヒアリング
  2. 本人同意と提供資料の確認
  3. 調査可能な項目と方法の整理
  4. 事前のお見積り
  5. 調査・情報照合
  6. 確認できた事項と確認できなかった事項を分けて報告

企業・採用調査全体については「企業・採用調査」をご覧ください。

勤務先の確認方法については「勤務先調査とは?職場を確認できるケース・方法・費用を解説」、調査の適法性については「探偵に依頼できること・できないこと」で解説しています。

採用調査の費用

採用調査の費用は、確認する項目、対象となる経歴の数、国内・海外の確認先、必要な調査方法によって異なるため、個別にお見積りします。

公開情報と提出資料の照合だけで確認できる場合と、追加の事実確認が必要な場合では費用が変わります。行動調査が必要な場合の基準は、調査員2名で1時間13,000円(税込)です。

通常の調査報告書は1案件30,000円、簡易報告は無料です。調査開始前に項目と費用を明示し、依頼者の承諾なく調査項目を追加することはありません。

詳しくは「調査料金」をご覧ください。

まとめ

採用候補者の経歴確認は、本人の私生活を広く調べるためのものではありません。募集職種に必要な職歴、資格、役職などに項目を限定し、原則として本人へ目的と範囲を説明したうえで進めることが重要です。

本籍、家族、生活環境、宗教、支持政党など、本人の適性・能力に関係しない事項を把握する調査は、就職差別につながるおそれがあります。

何を確認すべきか分からない段階でも「無料相談・お問い合わせ」からご相談いただけます。募集職種と懸念事項を伺い、調査の必要性と対応可能な範囲を整理します。

調査で終わらせない。その先の未来へ。

SD Research 調査事務所

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