新しい取引先との契約、業務委託、代理店契約、投資や高額な発注を検討するとき、相手企業のウェブサイトや担当者の説明だけで判断することにはリスクがあります。
企業信用調査では、法人の基本情報、所在地、事業実態、代表者・役員、公開された行政情報、ウェブ上の情報、現地の状況などを整理し、契約前の判断材料を集めます。
非公開の財務・信用情報は、依頼目的、対象企業との関係、同意や権限、情報源、確認方法、結果の利用目的によって対応できる範囲が変わります。この記事では、企業信用調査で確認できる可能性があること、個別判断が必要な情報、調査項目、依頼するタイミングを解説します。
企業信用調査とは
企業信用調査とは、取引や契約の相手となる法人・事業者について、公開情報、依頼者が適法に保有する資料、現地で確認できる事実などを照合する調査です。
主な目的は次のとおりです。
- 契約先が実在し、事業を行っているか確認する
- 担当者の説明と公開情報の相違を確認する
- 取引開始前の不安要素を整理する
- 高額な前払い・投資・融資判断の材料を集める
- 取引先の急な変化や連絡不通の原因を検討する
- トラブル発生時に相手方の基本情報を整理する
企業信用調査は、取引の安全を保証したり、将来の倒産を予測したりするものではありません。確認できた情報を基に、契約条件や支払方法を検討するための材料を提供します。
企業信用調査を検討するケース
新規取引を始める前
初めて取引する企業から、高額な前払い、長期契約、独占契約などを求められた場合です。
契約書へ署名する前に、法人名、所在地、代表者、事業内容、連絡先などが一致しているか確認します。
ウェブサイトの内容に違和感がある
会社概要が極端に少ない、所在地が頻繁に変わる、代表者名が確認できない、実績の根拠が見つからないなどの状況です。
ウェブサイトが整っていることと、実際にその場所で事業を行っていることは同じではありません。公開情報と現地の状況を分けて確認します。
担当者の説明が変わる
会社名、所属部署、代表者との関係、契約主体、振込先名義などの説明が変わる場合は、誰と何の契約を結ぶのかを整理する必要があります。
法人と担当者個人を混同せず、契約書の名義、請求書、振込先、メールドメイン、名刺などを照合します。
既存取引先の状況が急に変化した
連絡がつきにくくなった、支払いが遅れ始めた、事務所が移転した、担当者が一斉に退職したなど、従来と異なる状況がある場合です。
遅延があるだけで経営悪化と断定せず、現在確認できる事業実態や公開情報を整理します。
主な調査項目
法人の基本情報
法人名、本店所在地、法人番号、設立時期、代表者、事業目的など、確認可能な基本情報を整理します。
同じ名称の企業や、似た商号の別法人が存在する場合があります。名称だけでなく、所在地や法人番号まで照合することが重要です。
所在地と事業実態
登記上・ウェブサイト上の所在地に、事務所、店舗、看板、郵便受けなどがあるかを確認します。
ただし、バーチャルオフィスやレンタルオフィスを使用していることだけで、不正な企業とは判断できません。事業形態に照らして不自然な点があるかを検討します。
現地確認については「記載された住所に本人・会社が存在するか確認する方法」も参考にしてください。
ウェブサイト・SNS・公開情報
公式サイト、関連サイト、SNS、求人情報、プレスリリース、掲載された実績、電話番号、メールアドレスなどを横断的に確認します。
開設時期が新しい、複数サイトで会社情報が異なる、他社の画像・文章と酷似しているなどの状況が手掛かりになる場合があります。
ネット上の確認方法については「ネット調査とは?」をご覧ください。
代表者・役員・関連先
公開情報から、代表者・役員、関連会社、過去の事業、他の法人との関係などを確認できる場合があります。
同姓同名の別人がいるため、名前が一致しただけで同一人物とは断定しません。所在地、経歴、時期、関連企業など複数の情報を照合します。
行政処分・許認可・公開された裁判情報など
事業に許認可が必要な場合、公開されている登録・許可情報を確認します。また、行政機関が公開している処分情報や、公開範囲で確認できる裁判・公告等を調査項目に含めることがあります。
業種によって確認先や公開範囲が異なります。
取引上の評判・周辺情報
取引実態、営業状況、業界内で公開されている評価などを確認することがあります。
口コミや掲示板の書き込みは、事実とは限りません。一件の否定的な投稿をそのまま調査結果とせず、投稿時期、具体性、他の資料との一致を確認します。
企業信用調査で分かる可能性があること
- 法人・事業者の基本情報
- 申告された所在地と公開情報の一致
- 所在地で確認できる事務所・店舗の状況
- ウェブサイトやSNSの運営状況
- 公開情報上の代表者・役員・関連会社
- 公開された許認可・行政処分等
- 契約書、請求書、振込先名義などの相違
- 事業説明と現地・公開情報の不一致
- 追加確認が必要なリスク要因
調査結果は「信用できる・できない」の二択ではなく、確認できた事実、相違点、確認できなかった項目に分けて整理します。
確認方法と適法性の精査が必要な情報
次の情報は、公開情報だけでは確認できず、依頼目的、対象企業との関係、同意や権限、情報源、確認方法、利用目的によって対応可否が変わります。
- 非公開の銀行口座残高・取引履歴
- 金融機関が保有する内部情報
- 非公開の借入残高や返済状況
- 納税情報
- 従業員の私的な通信内容
- 他人のアカウントのログイン情報
- 社内システム内の非公開データ
- 将来の倒産や契約履行の保証
- 公開されていない営業秘密
不正アクセス、なりすまし、無断侵入、権限のない個人情報の取得は行いません。確認を希望する場合は、調査目的と現在お持ちの契約書・請求書・決算資料などをお知らせください。適法な範囲で対応できる項目と、相手方の同意、専門家、公的手続等が必要な項目を分けてご案内します。
調査前に準備しておきたい資料
次の資料があると、調査対象と確認項目を整理しやすくなります。
- 正式な法人名・屋号
- 所在地・電話番号
- 担当者名・役職
- 名刺
- ウェブサイト・SNSのURL
- 契約書・見積書・請求書
- 振込先情報
- メールやチャットのやり取り
- 提案資料・会社案内
- 取引を始めた経緯
- 不審に感じた点とその時期
- 希望する契約日・支払日
原本は加工せず保存し、調査用のコピーと分けて管理してください。
調査の進め方
1. 調査目的を確認する
新規契約の判断、未払いへの対応、投資判断、採用・業務委託など、目的によって必要な調査項目が変わります。
2. 提供資料と公開情報を照合する
会社名、所在地、代表者、連絡先、契約主体などを確認し、相違点を整理します。
3. 必要に応じて現地確認を行う
所在地での事業実態、看板、郵便受け、営業時間中の状況などを確認します。私有地や建物内部へ無断で立ち入ることはありません。
4. 結果を報告する
確認できた事実、確認できなかった項目、資料間の相違、注意すべき点を整理します。
調査報告書の内容については「探偵の調査報告書には何が記載される?」をご覧ください。
採用調査との違い
企業信用調査は主に取引相手となる法人・事業者を確認する調査です。採用調査は、採用候補者から同意を得たうえで、申告された職歴や資格などを確認します。
調査目的と対象を混同せず、必要な範囲に限定することが大切です。
採用候補者の確認については「企業・採用調査とは?」をご覧ください。
企業信用調査の料金
企業信用調査は、確認する法人、調査項目、現地確認の有無、対象地域などによって必要な作業が大きく異なるため、個別にお見積りします。
基本情報と公開情報の確認だけを行う場合と、現地確認、関係先の確認、通常の調査報告書作成まで行う場合では費用が異なります。
ご相談時に「何を判断するための調査か」「契約や支払いの期限はいつか」をお伝えください。不要な項目を広げず、目的に合う確認範囲をご提案します。
通常の調査報告書を作成する場合は、1案件30,000円(税込)です。詳しくは「調査料金」をご覧ください。
契約前のチェックリスト
- 契約相手の正式名称と法人番号を確認した
- 担当者の所属・役職を確認した
- 契約書と請求書の名義が一致している
- 振込先名義を確認した
- 所在地・電話番号・メールドメインを確認した
- 高額な前払いを急かされていない
- 説明が変わった部分を記録している
- 解約・返金・納期・成果条件を文書で確認した
- 不明点を残したまま送金しない
不審点がある場合は、相手を問い詰める前に資料を保存し、契約や送金を止めて確認することが重要です。
まとめ
企業信用調査では、法人の基本情報、所在地、事業実態、代表者・役員、ウェブ情報、公開された行政情報などを照合し、取引判断に必要な事実を整理します。
会社が実在することだけで安全な取引を保証するものではありません。契約内容、支払条件、相手の説明、公開情報、現地の状況を分けて確認することが大切です。
新規取引、高額な発注、投資、業務委託などを検討しており、どの項目を確認すべきか分からない場合は「無料相談・お問い合わせ」からご相談ください。
調査で終わらせない。その先の未来へ。
SD Research 調査事務所

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